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ホンのすこし

本と音楽を巡る旅

ライトなお仕事小説『これは経費で落ちません!』

私事ですが、現在仕事で経理をしています。まだまだ入社して数ヶ月なのでひよっこであります。毎日分からないことだらけですが、今まで触れたことのない「経理」というものに触れられて楽しいです。

 

そんな今の状況だからこそ、「経理」とつく本には興味津々です。

 

 

これは、石鹸や入浴剤を扱う天天コーポレーションで働く経理部森若さんのお話。お仕事小説です。

 

「これは経費で落ちない」と言うとは、社員の不正をバンバン暴いて切っていくような爽快系か?と期待しながら読みました。

 

主人公の森若さんはとても真面目。仕事とプライベートの公私混同はしないし、いつも淡々と仕事をこなす。周りから怖い人と思われている節がありますが、本人はそれを気にしていて、何故そう思われてしまうのかが分からず悩んでしまうような人。敵視されて嫌なことを言われ、それについて自分の中で毒付いてしまっても「自分の性格が悪い」と考える人。自分が傷ついていることにも気付かない。

 

つまり、とても不器用な人。

 

そんな、人に誤解されやすいタイプの森若さんが経理部の社員としてテキパキ仕事をしていく姿は素直にすごいなと思いますし、仕事も出来る人で上司としても尊敬出来ると思います。

 

こんな上司いいな!と思いながら読みましたが、個人的には腑に落ちない部分が多かったかな。

 

ダメなところ、経費で落ちないものを追求していくのかと思っていたけど、そういうわけでもない。不透明なものを無理やり不透明ではないと思い込み、片付けている感じがする。そういう部分が個人的にちょっともやもやするのは、私がまだまだ経理部のひよっこだからなのだろうか…


なんだか問題が解決されていない気がする。フラグ回収も全てはされてないし、続き物なのかな?

 

恋する森若さんは最高に可愛いので、そういう部分はとても気になる。


本作は別作品のスピンオフのようなので、今回回収されていないフラグは本編や別作品で回収される予感。

 

とりあえず本編も読んでみようと思います。

 

幸せになるための一歩を…『神様のケーキを頬ばるまで』

人の感情は複雑だ。

 

はたから見ると何の悩みもなく幸せに暮らしているように思えても、心の奥底ではどうしようもない気持ちを抱えているかもしれない。

 

「素敵な人だ、こんな大人になりたい」そう思われている人だって、その人の日常は波乱に満ちているかもしれない。

 

そんな"人の感情の歪み"、"不穏さ"、"アンバランスさ"。言葉に出来ない微妙な感情や深い部分を上手く表現しているのがこの『神様のケーキを頬ばるまで」です。


神様のケーキを頬ばるまで (光文社文庫)

神様のケーキを頬ばるまで (光文社文庫)


とある雑居ビルを舞台に、そこに関係する人たちの生き方を描いた物語。生きることに不器用な主人公たちが、悩みながらも自分の光を探して歩き続ける。「暗い森に入ってはいけない。」それなのに…人はどんどん深みへと落ちていく。

 

一見大人で素敵な人生を歩んで見えそうな人が、実際は家庭が上手くいかず子供との関係に悩んでいたり、好きなのに次に進むために別れる選択をしなければいけなかったり…

 

胸がぎゅっとなる物語が詰まっています。とても苦しいのに、何故かとても好きだと思う。それはきっと、主人公たちの脆さや不安定さが自分と重なるから。愛の歪みの苦しさがずっしりとのしかかってくるから。

 

 私は「龍を見送る」が特に好きです。切ない。

 

好きなのに、気持ちはまだそこにあるはずなのに。それなのに別れないといけない。そんな恋ってあるんだな。それはきっと、大人への階段なんだ。

 

この本、とても大好きです。

 

本書解説の柚木麻子さんによると、これは「祈りの物語」らしいです。なるほど。確かに「祈り」なのかもしれない。

 

なんというか、柚木さんの深読みの仕方がすごいと思った。知識ある人にしかできない読み方で、自分には思いつかない視点、思い至らない部分で、それがまた面白かったです。

 

あけましておめでとうございます

2017年が始まりました。

年々1年の経つスピードが早まっているように感じます。つまりそれは、毎日をもっと大切に過ごさなくてはいけないということ。

 

2017年は毎日を大切に、その日できることはその日にしっかりとやる。「今日もしっかりとやりきった!」と思えるように、そして、その気持ちを少しずつ積み重ねていく1年にしたいと思います。

 

2016年、思い返せば色々なことがありました。その中で最も大きいのは「転職」をしたこと。大好きな本屋を辞め、心機一転。事務の仕事を始めました。

 

大きな一歩を踏み出した年。そして今年はその一歩を確実なものにする年。一生懸命頑張ります。

 

2016年の最後は「久石譲 ジルベスターコンサート」で幕を閉じました。

 

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知らない曲も多かったですが、とても良いコンサートでした。久石さんは本当に天才です。作曲家としても尊敬していますが、演奏者としての久石さんが最も好きです。

 

今年も必ず行きます。久石さんの本も購入したので今から読みたいと思います。

 

2017年、楽しんで行きましょう!

ドーナツの思い出

『なんたってドーナツ』を読んでみて、私もドーナツについて書いてみたくなりました!

 

この本についてはこちら⬇︎

 

http://doremifagott.hateblo.jp/entry/2016/11/17/125425

 

私にとってのドーナツの思い出とはなんだろう。"ドーナツの思い出"と聞いて思い出すのは、幼い頃に見たドーナツを作る母の後ろ姿。"幸せなひと時"を連想する。なんだか温かい食べ物だと思う。

 

ただそれは私の頭の中のイメージである。私は家で手作りドーナツを食べたこともないですし。

 

しかし、このイメージはあながち間違っていない。ドーナツのエッセイを読んでそう感じた。やはり、ドーナツは昔ながらのおやつであるからなんだろう。

 

ドーナツは私となんら縁もゆかりもない食べ物だと思う。美味しいし、たまに食べたいと思う。でも、特別に好きというわけではない。それなのに本屋でこの本を見つけて、これを「読みたい」と感じた。それはなんでなんだろう?

 

ドーナツと私を結ぶもの。少し考えて見た。

 

私にとってのドーナツ。それを考えて真っ先に思い出したのは「わかったさんのドーナツ」。わかったさんシリーズは昔から大好きで、自宅に数冊シリーズを持っている。クッキーなんかは昔よく作ったものだった。それなのに、シリーズの中で一番思い入れがあるのは、作ったこともないドーナツだった。

 

何故かすごく惹かれるものがあって、何度も何度も読み返していた。可愛い女の子の存在、不思議な世界観、そして、わかったさんシリーズの中でもトップクラスの色彩感。それが堪らなく好きだった。

 

「わかったさんのドーナツ」のことを考えているともう1つ。ドーナツとの思い出を思い出した。

 

小さい頃に食べていたドーナツといえば、誰もが知っている「ミスタードーナツ」。私はここのゴールデンチョコレートが大好きで、ドーナツを食べるというと必ずこれを食べていた。

 

買って帰ったドーナツの中にゴールデンチョコレートがないと怒り、うっかり家族の誰かが食べてしまっても怒っていた。それほど私はこのドーナツが大好きだった。

 

家族の中では「ゴールデンチョコレート=私」という方程式が完全に出来上がっていて、ドーナツを選ぶ時に私が居合わせなくても必ずゴールデンチョコレートは綺麗に箱の中に仕舞われていたものだった。

 

あんなに大好きだったのに、もう久しく食べていない。いつから他のドーナツを食べるようになったんだろう。久しぶりに食べたくなってきた!

 

うん。意外とあった、ドーナツの思い出(o^^o)

 

余談ですが、私は割と何かにハマるといつもそればっかりになってしまう。

 

普段よくクラシック音楽を聴きますが、それも毎回同じ曲ばかり。YouTubeの音楽動画もお気に入りを繰り返し。数ヶ月に1度は必ず行く大好きなカレー屋さん、通いつめて5年ほど経つのに未だに石焼チーズカレー以外食べたことがない。

 

全然意識していなかったけど、こう見てみると私の行動パターンは昔からなんら変わっていないのだな。

 

幸せな思い出をおすそ分け『なんたってドーナツ』

ドーナツ、それは懐かしい思い出の味。

 

ドーナツって本当に幸せなおやつだと思う。想像するだけで幸せな気持ちになれますし、口の中まで甘い気がする。食べたい。

 

なぜドーナツという存在は私たちの胸を熱くさせるのか。人々のドーナツに対する思いや、ドーナツという存在について感じたこと、考えたことが詰まった本。それがこの「なんたってドーナツ」です。

 

 

なんたってドーナツ: 美味しくて不思議な41の話 (ちくま文庫)
 

 

 

人の数だけドーナツとのストーリーがあり、とても面白く読むことができます。この本ではなんと41編も!「ドーナツのことだけで1つの本が出来上がってしまうのです。その想いと情熱はすごいです。

 

老若男女問わず、様々な方がその思いの丈を連ねていらっしゃるので、正直読みにくい文章や自分とは合わない文章もあります。

 

ですがそれ以上にセンスの光る文章、言葉に出会うことができました。こういうところが複数の方で書かれた本の醍醐味と言いますか、面白いところですね。

 

表現が好きだと思ったのは俵万智さん。

「昔」という言葉を外からの見た目と、内からの心情的な部分に掛けて使っているのが印象的で、「なるほど!そんな表現の仕方が! 」と惹きつけられました。

 

食欲をそそられたのは堀江敏幸さん。

ベニェって一体どんな食べ物なんだろう。「幻となったあの味」というのがとても興味そそられます。

 

そして、文章的に好きなのは千早茜さん。

すごく素敵な文章を書く方だなと。エッセイですがそれは1つの物語として仕上がっていて、実に運命的な気がして。千早さんの物語にもっと触れてみたいし、また読み返したい。

 

後は林望さんの「甘露の味わい」という言葉が好きだなと思ったりと、素敵な文章や言葉に触れられて幸せでした!

 

そうそう、私はこの本を読んで気づいたことがあります。それは、みなさん割とドーナツの穴のことを真剣に考えているということ。私は穴にそこまで着目したことはないですが、穴という存在は思っていた以上に大きく、人を惹きつけるようだ。

 

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」と言う本も出版されているくらいですから、その存在は誰しもが気になる部分なのでしょうね。この本も近いうちに読みたいと思います。

 
 
そして、私もドーナツの思い出について少し語ってみました!
 
 
ドーナツ食べたい。

 

舞台は小説よりも奇なり『オペラ座のお仕事』

音楽は好きでクラシックをよく聴きます。しかしながら、オペラに触れたのは高校時代の音楽の授業程度。

 

そんな私が初めて自分から"オペラ"に触れるきっかけとなりました。

 


著者の三澤洋史さんは新国立劇場で合唱指揮者を務めていらっしゃいます。この本では、三澤さんが如何にして音楽の道を志すに至ったのかという話から合唱指揮者という仕事の話、出会った人、オペラのこと、世界で活躍する指揮者のことなどに触れられており、大変興味深い内容でした。

 

音楽というものは本当に信頼関係の上に成り立っている。どんなに意見が食い違ったとしても遠慮も妥協もせず、時にはぶつかり合いながら進んでいく。そうして"より良いもの"を作り出していくのが本当のプロであり、そうすることで本当の意味の信頼関係が築かれていくのだという事を肌で感じる事ができました。

 

三澤さんという人物は実に探究心に溢れています。自分の進むべき道のための努力を惜しまず、全力でぶつかっていく。

 

勉強熱心で、行動力もあり、自らの道を自らの手で切り開く力を感じました。こういう方を人は「才能のある人」と呼ぶのかもしれません。ですが、決して「才能」があったから成功した訳ではありません。

 

音楽に対する情熱や研究心、自分の知への探究心。それらを兼ね備え、常に学ぶ姿勢を忘れなかったからこそ成功したのだと思います。

 

もちろん、人が成功するための要素として才能は必要だと思います。ですが、その才能を開花させることができるかどうかは自分次第です。三澤さんが持っていた才能はきっと、自分の知の欲求に忠実で、それらを全てを楽しむことができることだったのでしょう。

 

私はこの本の中で印象に残っている言葉が2つあります。

 

まず1つめは「自分のやりたいことは迷わずやればいい。人の目など気にすることはない。」という言葉。

 

そしてもう1つが「人の言葉というのは重いんだね。いつも真実に感じ、真実に語り、真実に生きていくべきなんだなと、身を引き締めた。」という言葉です。

 

人の言葉は重い。それは良くも悪くも。言葉には力があるからこそ、発言には気をつけないといけないし、日々の言葉を大切にしたいです。

 

本書から三澤さんの人柄の良さがとても伝わってきて、一度三澤さんのオペラを観に行ってみたくなりました。そして、実に面白かった!自分の知らない世界を覗くというのはなんと素晴らしいことなんだろう。

 

 

 

 

知への欲求を掻き立てる『10分あれば書店に行きなさい』

私がブログを始めるきっかけの1つになった本がまさしくこの「10分あれば書店に行きなさい」です。

 


書店はただ本を売っている場所ではない。書店に行くことによってモチベーションを上げたり、新たなアイデアが生まれる。


この本は一種の書店ガイドといえますが、それだけではなく、書店の活用の仕方を論理的に提示し、また本の選び方、読み方、その後得た知識をどのように使うかまで教えてくれます。

 

特に本で得た知識ってみなさん活用し切れていないんじゃないかな?と思います。私自身も読んだら読みっぱなしが多く、その知識をアレンジして使った経験ってほとんどありません。

 

折角本を読むならその知識は活かすべきだと思うし、そうしたいと思います。ならばどう使えばいいのか。そのヒントがここにあります。

 

また、今まで触れたことのないジャンルの本の解説もあり、今までとは違った系統の本に触れてみたくなります。読まず嫌い、ってあったのかもな。

 

面白くて面白くて、久しぶりに本を貪るように読みました。知への欲求が高まります。

 

普段私は仕事でも大きなミスはしないんですが、最近ちょっとしたミスが増えてきていて「あぁ…なんでだろう…頭回ってなさすぎ…」と思ってたんですが、この本の一節で前向きになれました。

 

"「うっかりミスが多い」人は、疲れているのではなく、まだまだ脳の使い方が足りない。"

 

なるほど。確かに最近はだらだら過ごしていて頭を使っていない。何事もそうですが、しんどいからと言って考えることを辞めてしまっては何も解決しない。もっと頭を使って物事を考え続けたい!そう感じました。

 

手元に置いておいて、読書欲が落ちてきた時にまた読み、モチベーションを上げて行きます!


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この本と出会ったのは、まだ私が書店員の時でした。当時新刊として入荷したこの本を検品していて、その時は「たった10分あるからと書店に行って何が分かるんだろう?」とただただ疑問でした。

 

当時は読むこともせず、この本の存在をすっかり忘れていました。そんな私がなぜこの本を今更思い出したのか。

 

それは、今働いている会社の朝礼でスピーチをすることになったのがきっかけでした。

 

新しい会社に入って2ヶ月。初めてのスピーチ。私らしいスピーチってなんだ?と考えた時、やはり書店の話しかないなと思ったのです。そして、書店の話にどう結びつけていくか?と考えていた時にふとこの本が頭に浮かびました。

 

「そういえば、書店に行けとか言う本があったな…」そう思い検索をかけて思い出したのがこの本でした。

 

スピーチをした時にはまだ読んでなかったのですが、タイトルから感じた自分の考えや書店の在り方を話しました。

 

当時は10分あったって…と思っていたのに、いざ自分が書店から離れてみると確かに10分あれば書店に行くべきだと感じるようになりました。

 

だって、書店の棚って見るだけで今の世の中の流行りが分かるんです。それが政治でも趣味でも料理でも、何だって、世の中で求められているものは必ず目立つ位置に陳列してあります。

 

書店は私たちの周りの流行りや社会で今何が必要とされているかを知る、一番身近なツールであると思います。だからこそ、会社の人たちにもそういうことを知る1つの手段として、書店を活用して欲しい…というような話しをしました。

 

実際、そのスピーチを聞いて書店に足を運んで下さった方もいて嬉しい限りです!

 

でも感想として「流行りの本探してみたけど、よく分からなかった!」という意見もあり、やはり自分が書店員だったからこそ分かるのであって、一般的には分からないものなのかな?と少し疑問でした。

 

でもこの本読んで「書店の見方を知るには訓練が必要」というくだりがあり、なるほど…だからか。と納得しました。

 

みんながもっと書店を活用して楽しめるようになれば良いなと思います。